OYOライフという敷金礼金なしで物件を貸し出す賃貸の新たなプラットフォームを打ち出す会社が出てきました。このOYOライフについて借り手と家主目線、そして賃貸仲介業者から見た評価をしたいと思います。
OYO LIFEとは?
OYO LIFE(オヨライフ)はインドの企業で世界でホテル業を営んでいる会社でそのノウハウを賃貸業界に取り入れて、借り手になる家を探す人が住まいを探す際にスマートフォン一つで家探しから契約まで出来ることが売りの一つになっています。
また、家を探す人にとって初期費用がネックになるケースがあり、住まい探しを楽に、そして安く、がOYO LIFEで家探しをするメリットになるとのことでした。
OYO LIFEで家を探すメリット
- 敷金礼金がゼロ
- 仲介手数料もなし
- 電気ガス水道などのライフラインの手続きが不要
- 家具家電付き
- WIFIもついている
と、借りる側にとってはとてもメリットが大きいと一見すると感じられますね。
マンスリーやウィークリーマンションととても近いものがあり、契約の形態は普通借家契約ではなく、定期借家契約となります。
契約の期限が来たら再契約も可能ですが、OYO LIFE が契約は再契約しないとなれば入居者は出ていかなければなりません。
YAHOOと提携しているから安心…
資本はどうしているのでしょうか。
OYO LIFE と契約を考えているのは何も入居希望者だけではありません。お部屋や物件のオーナーもですのでいったいどういった資本が入っているのか、というのは気になるところです。
OYO LIFE の資本はYAHOOと提携しているため、安心!というのが一つの売りでした。
日本でYAHOOの知名度はとても高いため、この点は安心感があります。
*追記2019年12/22
YAHOOと資本提携をしているから安心!が一つの売りだったのですが、YAHOOとの提携を解除となってしまったようです…。
OYO LIFEは部屋を借りる借り手にとっては安くなる?
賃貸物件の問題点は契約期間が普通借家契約で言えば大体が2年です。その2年の賃貸契約で入居までに初期費用として敷金礼金など大体ひと月分ずつ取られることが多いです。
また大きな間取りになればなるほど敷金は積み増される傾向にあります。これは清掃費用を予め預かっておこうという慣習で始まったものでほとんどの場合が退去時に清掃費用として敷金から充当されます。

礼金については大家さんへのお礼という意味を込めて払われるものです。契約しているのにもかかわらず家主にお礼を払うのはどうかと思う、という声が聞こえてきそうですがこれも古い慣習が残っている例でしょう。
この礼金は大家さんへ払われることもありますし、管理している管理会社への広告料などの名目で払われることもあります。
さて入居される借り手にとってはこんなことどうでもいいと思われるかもしれませんが、敷金礼金については入居者を募るために管理会社や賃貸の客付け会社などが努力している部分もあります。
そのおかげで貴方がその物件を見つけることが出来た、という風に考えることも出来ます。
ただ、初期費用としては安いほうが良い!というのは借り手にとっては当たり前ではあります。
そういった心理を鑑みるとOYO LIFEの敷金礼金不要、というのは魅力的に映るかもしれません。当然初期費用はお安いほうが良い。
OYO LIFE が貸し出すお部屋の特徴は、『すぐ住める』のが特徴なので、家具家電など生活に必要なものをあらかじめOYO LIFE のほうで揃えてくれます。
家具家電付き賃貸物件なんです。
OYO LIFEを使って家を借りた人の感想
こんな利点満載のOYOLIFEを利用して賃貸に住んだ方の感想はどうでしょう。
もし仮にとても快適ということになれば、今後はこういった契約の形態も一つの選択肢になりうると思います。借りる方にとっては安い、契約が楽、というのは家探しをするのにはとても魅力的に映るはず。
利用した、という人ではないのですがホリエモン(堀江貴文氏)はこういったOYO LIFEのようなサービスが拡充することを歓迎しているようです。
https://www.yamamototetsu.com/oyolife/
ミニマリストで定住をせずに各地を転々とする方にとっては初期費用が安くそして契約が楽というのは魅力に映るようです。
この方のブログから推測できることは、短期間であればOYO LIFEはお得になるかと思います。
ただ、このお得感もOYOの賃料設定がすべてであり、契約終了後に貸し出す賃料を上げてくる可能性もあります。OYO LIFEがお得、というのは短絡的。
OYO LIFEを使って部屋に住む人にとって気を付けることは?
賃貸契約をする際に支払う契約金が少なくなることはとてもメリットが高く感じますが、OYO LIFE が設定している家賃は周辺の同じようなお部屋と比べても少し割高感があります。
長い間そのお部屋に住み続ける気持ちがある場合はトータルのコスト面では割高になります。
またOYO LIFEのサイトで選べるお部屋の数があまり多くないため選択肢が多くはありません。この点は今後に期待ですが…。
大家(家主)にとってはOYO LIFE はどう?
家主にとって問題になるのは空室の期間です。儲けが欲しくて賃貸やっているわけじゃない、という家主さんもいらっしゃいますが、多くの家主さんにとっては空室ではないほうが良いに決まっています。
その点、OYO LIFE はマンションやアパートの空室を埋めてくれるパートナーになります。
ただ契約としては転貸になります。サブリース契約といいます。
大家さんとOYOライフとの契約の注意点とは
OYOライフと家主さんが、普通借家2年契約を『法人契約』として結びます。OYOライフが借りたお部屋をOYOライフが『定期借家契約』として、入居者を募るわけです。
つまり大家さんとは普通借家契約で、OYOライフが募った賃借人とは定期借家契約で貸し出すわけです。
デメリットととしてはこの点でしょうか。
入居者がどんな人なのか分からない点と、コロコロと入居者が入れ替わる可能性もあります。もちろん貸し出されたマンションやアパートが気に入ってずっと住んでくれる可能性もありますが、定期借家契約となると再契約ができない条項が入っていると期限が来たら出ていかなければなりません。

需要があれば賃料を上げて契約することも視野に入れている可能性はあると思いますが、入居者が良い方だからずっと住んでほしいな、という場合でもその契約はOYOライフとの契約になるため、その点が融通が難しいかと感じます。
もちろん入居者同士のトラブルなどについてはOYOライフが解決するようになっていますが、入居審査を設けている管理会社やオーナー(家主さん)はどういった方が入居するのかあらかじめチェックできるプロセスが使えないことになります。
OYOライフが今後管理するお部屋を増やせるかどうかはこういった点をどう解決していくかにもよってくると思います。
お部屋のオーナーとOYO LIFEの契約は2年、途中で解約されることも
OYOライフと大家さんの契約は普通借家契約2年ですが、中途の解約もあり得ます。またOYOライフはその中途解約による短期解約違約金についても支払いをしないとしています。
せっかく2年間の契約を見込んでいたにもかかわらず、短い期間で解約される可能性もあります。その短期解約についても違約金を請求することは出来ないのです。
賃貸仲介業者とOYOライフの位置関係は?
賃貸仲介をメインでやっている会社にとってOYOライフは、例えば管理している物件の空室を埋めてくれるパートナーとなりうるものです。
しかしOYOライフとの契約では仲介手数料を請求することは出来ないようです。
つまりほぼ業界用語でいう片手になってしまいます。この点を甘受できるかにもよります。
だったら自社で客付けしたほうが実入りが多いと感じる仲介業者も多いはずです。
おまけにOYOライフは事務手数料や鍵交換費用、その他付帯商品についても一切不可です。つまり敷金礼金と日割り家賃のみになってしまいます。
大家さんから広告料があるかもしれませんが、ほぼ片手、下手すると片手以下なんて言う事態になり得ます。
そうなると、OYOライフが大家さんと直でやり取りされてしまうと大家さんを抜かれてしまう、と感じる業者も多くなるかもしれません。
そうなる前に客付けを頑張るしかないという意味でお尻をひっぱたいてくれる存在になりそうではあります。
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